伊藤綾教授(音楽学)のゼミでは、前期に「学術的な文章の書き方」として、文献の探し方と使用方法、音楽に関する文章の書式、文章構成や言いまわし、校正方法などを学びました。後期はその応用編として、自主企画演奏会「作曲家シリーズ vol. 1 ロベルト・シューマン」を企画・運営し、前期に学んだことを配布プログラムの作成に活かしました。
この演奏会のコンセプトは、毎年ひとりの作曲家にフォーカスし、その作曲家の作品を演奏するとともに、その作曲者の生涯と作風、そして演奏曲目の解説を執筆することにより、演奏者・執筆者・観客の全てがその作曲家のことを学べる機会を作ろう、というものです。記念すべき第1回にはドイツ・ロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマンを選びました。
12月2日に本学のミニコンサートホールで開催された演奏会では、4人の音楽学科学生有志が演奏を披露しました。前半はピアノ作品で、黒木さんが《アラベスク》(Op. 18)、福原さんが《ウィーンの謝肉祭の道化芝居》(Op. 26-1)を演奏し、それぞれの情景が思い浮かぶようなシューマンの精緻な描写力を表現してくれました。後半は和田さんによる連作歌曲《詩人の恋》(Op. 48)[抜粋]で始まり、シューマンの音楽が描くハイネの抒情的な世界を歌い上げました。最後は田中さんが、ホルン用に書かれた《アダージョとアレグロ》をテューバで情感たっぷりに演奏しました。
演奏会を終えてゼミ生は「さまざまなジャンルのシューマンの曲を聴く機会を設けられて良かった」「運営をして初めて『もっとこうすれば良かった』という部分が見えてきた」など、この試みを通したそれぞれの学びを実感していました。指導した伊藤教授は「介護実習等などで準備時間が十分に確保できない中、学生が協力し合って演奏会を無事に開催できた。このシリーズを通して、学生たちが自分の専門外のジャンルについても知り、学ぶ機会を創出できたら嬉しい」と今後の抱負を述べていました。